思いやりと言う言葉は、ほとんどの人が理解しているだろう。だが、本当の思いやりを持ってプレーしている選手がどれだけいるだろうか。思いやりのプレーがチームメイトに対するひとりよがりの押し付けであったり、チームメイトへのアピールであったりすると、もう思いやりではなくなってしまう。それは本人にとってもチームにとってもマイナスに作用する。本人が「K君のために最大限のプレーをしたのに」と考え、K君は「何なんだよあいつ、むかつくな」と思う。その心理が本人に伝わり、「K君のことを思いやってプレーしたのに・・・。まったく人の気持ちもわからないのかよ!」といったぐあいの悪循環が生まれる。そのような思いやりは、チームワークを強化させるどころか、逆に弱体化させている。ヤクルトスワローズの名手、宮本選手は、「ファインプレーは絶対に見せたくない」と考えている。それは投手への思いやりによるものだ。投手は打たれた瞬間「ヤバイ!」と感じる。そこでファインプレーを見せれば、ホッとする反面、いい打球を打たれたというイメージが残る。それが次の投球への不安を生む。宮本選手は、こうした投手の心理面でのアップダウンをさえたくないと考えているのだ。平凡なゴロのようにさばけば、投手は心理面を崩すこともない。ただしコレは、ほんの一例であり、ファインプレーが雰囲気を盛り上げるチームであり、それにより調子が上がる投手である場合は、逆の効果であることを知っておくことが大切だ。自分が思いやりだと考えて、一人で納得しているようではだめだ。相手にとって何がベストであるかを考えたプレーこそが本物と言えるだろう。チーム内で、こういった本当の思いやりを持てば、チームワークが強化されることだろう。